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歩道橋のステップの凍りついた階段を注意しながら上り下りして北8条道路を横断し北大構内に
入る。農学部本館の裏に出てポプラ並木まで真っ直ぐの構内道路が500mほど北へ伸びているが、
ここはかって北大へ暖房用の石炭を運ぶ鉄道の引込み線の跡である。私が北大構内で遊んだ子供の
頃には、まだ線路が残っていたような記憶がある。
昔の線路跡の道はやがてポプラ並木の入口に出る。冬の季節のポプラ並木は当然葉が落ちて、そ
れでなくとも4年前の台風の直撃で倒壊した古木が抜けて、ところどころ隙間のできたうら寂しい
佇まいになっている。もはや観光資産としては心細い限りだが、すぐに再生できるわけでもない。
ポプラ並木の間を通って先へ進み白一面の第一農場を見渡した後、花木園の裏に廻る。ここには
余り知られていないが、ひっそりと小池があってこの季節今は薄氷が張っている。この辺りはかっ
て北大馬術部の馬場があったところで、その頃池があった記憶が無いのでたぶん花木園を造ったと
きに池をこしらえたものであろう。新渡戸稲造の胸像の土台には、「我、太平洋の架け橋とならん」
と、国際人として国連事務次長も歴任した新渡戸先生の言葉が英文で彫り込まれている。
理学部と中央食堂との間を通って構内の「中央道路」に出て人工雪誕生の碑を横に見て進むと「
大野池」があって、夏はハスの花が咲き、カモが群れているのだが、今の季節は池一面に氷が張っ
て静かなものだ。水草やカモがいないといつもより一層広い池に見える。池の向こう側には工学部
の本館が見える。昔の工学部本館の建物は「白亜館」とも呼ばれて絵になる風景であったが、昭和
40年代の初めに老朽化のため取り壊して現在のビルに代った。
工学部の前から東へ「イチョウ並木」を進む。ここは秋の黄葉の名所にもなっているが、冬枯れ
の葉を落として黒々とした並木の佇まいもまた凛としてよいものだ。「冬来たりなば春遠からじ」
か、また来年も見事な黄金の吹雪を見せてくれるだろう。イチョウ並木を通って北大構内を出て
ついでに真っ直ぐ歩いて「創成川」を見に行く。この辺りの創成川沿いは、アンダーパス工事の影
響もなく、以前と変わらない佇まいを見せてくれる。
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ポプラ並木 |
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花木園の新渡戸稲造胸像 |
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工学部本館前 |
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イチョウ並木 |
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