大雪山旭岳を歩く
'07.09.01. 晴れときどき曇り
 姿見駅の周辺は、さすがに国立公園らしく観光用に整備が行き届いており、 付近にいくつかある池を巡って高山植物の群落を周って楽しむことができる。 しかし、この9月1日は、大雪山にとっては晩夏の花の少ない季節に当り、も う半月もすると紅葉の時期を迎える。遊歩道の周りにはチングルマの綿毛のよ うな実、白い羽毛のようなワタスゲ、黄色い小花が集ったようなアキノキリン ソウ、鮮やかな藍色のきれいなミヤマリンドウなどが目を楽しませてくれる。 途中、ナナカマドに似ているが大きな上向きの赤い実をつけた低木が新鮮だ。


 遊歩道の南側を廻って「大雪の鐘」展望台に出る。この大雪山で以前10名 の遭難者を出したことがあり、この鐘はその鎮魂のために設けられたそうだ。 友人が紐を引いて鐘を鳴らすと遠くまで澄んだ音が響く。目の前には「姿見の 池」があって丁度旭岳を池の水面に映しているので、そのように名付けられた という。池のすぐ反対側には石室があるが、宿泊やトイレ施設はなく、単なる 堅牢な休憩所ないしは避難小屋の機能であろうか。観光客の人たちはこの辺り を散策して、再びロープウェイで下山する。


 目を登山道の南側に転ずると広大な火山性斜面の裾が広がり、はい松とクマ ザサの交叉する中に小形の湖沼群と高山植物群らしき花畑も点在している。そ の雄大さは現地を見た者のみが知れる規模で、まさに”カムイミンタラ(神々 の遊ぶ庭)”の名前に相応しい。ミンタラの遥か遠くには、五色岳、化雲岳を 前景にトムラウシ山と十勝岳連峰が蒼い薄墨を掃いたように連なって空を狭め ている。


 急に空が広くなったと思ったら、もうそこは旭岳の山頂のなだらかな広がり であった。頂上にはお定まりの国土地理院の一等三角点の標石や環境省の設置 した旭岳山頂2,290mを示す木柱の他に、もう役に立たなくなった大理石 製の方向円盤が置かれている。さすがに北海道の最高峰・旭岳の山頂からは3 60度の展望が開けて、目の前の西側は吸い込まれそうな地獄谷の爆裂火口が 急崖となって落ち込み、東には「後旭岳」を前景に「白雲岳」の雄姿が望まれ、 北は「間宮岳」の後に道第二の高峰「北鎮岳」がなだらかな稜線を見せ、その すぐ左手には「愛別岳」の三角ピークが頭を覗かせている。
姿見の池遊歩道のミヤマリンドウ
姿見の池と爆裂火口地獄谷
遠方トムラウシ山と十勝岳連峰
旭岳山頂より爆裂火口を見下ろす
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