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宮の森の「本郷新記念館」の裏の駐車場に自転車を預けて山側へと上って行
く。道路はやがてT字路にぶつかり右に折れて「大倉山シャンツェ」へと向か
う曲がり道を進む。2つ目の道路の湾曲部から分かれて、三角山に向かう砂利
道の私道が付いている。この辺りは札幌市の高度成長期に三角山の南斜面を削
って建設用の砂利採取場が作った車両運搬道路跡の一つだが、もはや藪の中に
細道があるだけで平地幅だけがかって作業自動車が通ったことを偲ばせる。
道の途中から三角山を仰ぎ見ると人工(旧採石場)の岩石大露頭を背景にスス
キの穂や萩の花が咲きはじめており、もう秋の気配が十分に感じられる。
この藪の中の細道は途中で途切れることもないので、ハイカー達にそこそこ
利用されていると思われる。私道とはいえ旧採石用道路を経て市の自然遊歩道
に繋がっており、今回のコースもそうだが三角山山麓を周回することができる。
旧採石場跡の前から三角山の東斜面を巻くようにして、緩い上り道が続いて
行く。500mほど進むとさらに周回しながら山頂へ向かう道と、山を下る道
の分岐に出る。以前にはなかったのだが、ここには新しく遊歩道のガイド板が
立てられていて歩行ルートがとても分かりやすい。
山麓南斜面の旧採石場の露頭は2ケ所あるが、どちらも山体内部の安山岩質
溶岩の節理がよく観察できる。採石による山の自然破壊があったマイナスの反
面で、砕石用道路跡が三角山登山を容易にするとともに、地質学の勉強場所を
提供することになったプラスの面もある。三角山を含む札幌市周辺の小山は、
第四紀の初め頃に西野層の泥岩を持ち上げて安山岩質溶岩が貫入した溶岩円頂
丘と云われている。露頭の現場は、崩落の可能性があるため立ち入り禁止柵で
囲まれて近くには寄れないが、見事な景観を呈している。
今回は時間もないので分岐点からは下山ルートを進む。私の中学時代何度か
三角山に登ったが、当時この辺り、三角山の東斜面は広い防火帯が設けられて
いて、低い潅木と笹ヤブばかりで結構見通しは良かったのだが、現在では鬱蒼
とした樹林に覆われていて、時たまに木々の隙間から札幌市街がチラリと顔を
覗かせる程度になっている。遊歩道は時々稲妻型に方向を変えながら徐々に降
りて行く。住宅地が見えてくる位置まで下ると、そこはもう宮の森病院の裏手
にあたり、病院の横から住宅街に出たところに三角山遊歩道入口の表示板が立
っている。
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三角山南斜面を背景に萩とススキ |
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旧採石場に至る踏み分け道 |
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旧採石場の安山岩の大露頭 |
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札幌市街と円山・野球場 |
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