馬追丘陵を歩く
'08.09.10. 晴れ
 道道札幌夕張線を長沼町から由仁町へと馬追丘陵を横断するとき、峠から南への林道を経 て4キロほど歩くと丘陵の最高点・瀞台(標高273m)に着く。ここには「天測点」とい うコンクリート製の台座が1基座っている。三角測量でのひずみを修正するために戦後まも なく全国48カ所で実施された第一号天測点として歴史的な価値がある。「瀞台(しずかだ い)」という名称は、明治19年道庁の内田瀞という人がこの場所に登って石狩平野の農村 選定の際の地勢調査を行ったことを記念して昭和35年に命名された。


 瀞台からの眼下には航空自衛隊長沼分屯基地の全貌が見渡せる。かって移動式迎撃ミサイ ル・ナイキの装備があったのもこの基地ではなかったか。さすがに瀞台のすぐ下から高い金 網柵が設けられていて基地への人の侵入を妨げている。自衛隊基地の向こう先には長沼町南 部の広大な田畑が広がり、その背景には淡い青紫色に沈んで樽前山から手稲山までの西の山 並みが屏風のように連なっている。



 道道が馬追の丘に上る途中に馬追温泉があり、その右脇裏から尾根道を辿って1.5キロ ほど次第に上って行くと、長官山(標高254m)の山頂が現れる。山頂には朱色にペイン トされたベンチ付きの3m高の展望台が設けられてよく目立っている。展望台そのものは周 囲の樹木が邪魔して名前ほどには展望がよくない。長官山の名の由来は、明治24年第3代 北海道庁長官・渡辺千秋が全道巡視の途中この峰に登り、石狩平野の開拓構想を練ったこと によるそうだ。


長官山を降りて馬追温泉を訪れる。この温泉は明治中期の創業で古くは馬追鉱泉として地元 に親しまれてきた。今でも泉源の温度は7度くらいで加熱昇温して供している。玄関で入浴 料¥450を払って脱衣室へ入ると今湯からあがって休んでいる先客が一人いただけで、浴 場は私一人の貸切状態であった。浴槽で歩行に疲れた身体を十分に伸ばす。泉質は単純硫黄 泉で無色透明だが、湯船に浸かるとほのかに硫黄の匂いがする。
瀞台の天測点
瀞台からの眺望
長官山の展望台
馬追温泉正面
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