 |
「茨戸」はアイヌ語の「パラ・ト」（広い沼）が語源で、琴似川の下流がこの辺り
で沼のように広がっていた。この「パラ・ト」の石狩川に注ぐ川口を「パラ・卜・プ
ト」（広い沼の口）と呼び、それが茨戸太となり、さらに茨戸の地名となったという。
篠路川筋から「茨戸川通」という名の小径を南へ進んでいくと、左手に「茨戸天満
宮」の社と境内が現れる。軟石削りの鳥居と注連縄がこの社の年輪を窺わせる。茨戸
天満宮は、菅原道真公を祀った神社で天神様とも呼ばれる。社殿の建立は明治中期ら
しい。
社殿は赤いトタン屋根の小振りの堂宇だが参道の両側には三連の石灯篭があって、
おもしろいことには入口から奥へ進むほど小型化して新しくなっている。時代の流れ
と氏子の盛衰が窺えておもしろい。茨戸天満宮の社殿の庇下に取り付けられた扁額は
凝ったもので、通常は木彫りの金箔押しが多いが、ここではコンクリート板に水色の
塗料で彩色して社名が書かれている。水難除けの意味が込められているのだろうか。
天満宮を後にして「茨戸公園」の横に出て「茨戸橋」を渡る。この辺りは発寒川、
創成川、伏籠川の合流点で、橋上から眺める水郷風景は一幅の絵になる。昔の茨戸
公園の様相とはすっかり変わって中の島も全域パークゴルフ場になり、休日ともあ
って多数の高齢者たちでいもの子を洗うような盛況である。学生時代、クラス対抗
レガッタのチームを応援に来た日々が懐かしい。
発寒川を渡って札幌市域に戻り、「茨戸耕北川」を見に行く。この川の出自ははっ
きりとしないが、多分用排水路の目的で設けられたものと思われる。それにしても、
緩くカーブした流路には自然河川の趣も残っていて、特に、下流部は護岸もなされ
ておらず、釣り人のよい漁場になっているようだ。岸辺に生い茂る雑草と水面のレ
ベルは、川端の住宅の基礎より５０センチ程度の低い危うさで、川の増水時には
水害を免れ得ないのではと気になった。
|
| 茨戸天満宮入口 |
 |
| 茨戸天満宮境内 |
 |
| 茨戸大橋と茨戸川 |
 |
| 茨戸耕北川 |
|
|
