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ここ一年ほど縁あって時々長沼町を訪れる。長沼の名はアイヌ語の「タンネ・トー」
から出たもので、細長き沼の意とされている。これらの沼は湿原が水田に変化するとと
もに美田の底に埋められてしまって、いまその原形を見ることができなくなった。
長沼市街から東へ3キロほど馬追丘陵の麓に「馬追の名水」と呼ばれる泉がある。湧水
かどうか定かではないが、多数の付近住民がポリタンクで水汲みに来る。
長沼温泉は、先の馬追の名水から少し市街地に戻る途中にあって、町営の「ながぬ
まコミュニティセンター」の施設の一つである。温泉は、毎分湧出量1800リット
ルという大量のナトリウム塩化物強塩泉を誇る。私も入浴してみたが、湯の華で少し
濁りある強い塩味の湯が太いパイプからどくどくと浴槽に注がれており、なるほど、
町の観光案内に書かれている通りだ。
温泉から出て施設の裏庭からコミュニティ公園の広大な芝生の方へ歩いて行くと、
池に「旧舞鶴橋」と銘のある鉄橋が架かる。説明版によると、この橋は昭和11年
から平成5年まで千歳川に架った北海道で最初のランガーガーダー式構造の橋で、
同じ構造では全国で最も古い橋の1つという。 長沼町では歴史的にも由緒ある
この橋をここ公園に保存した。橋の欄干に取り付けられた照明灯も風格がある。
旧舞鶴橋の下から向こうは、農業用水のために堰きとめられた「富士戸堰堤」と
いう名の大きな人工の池があり、隣接するコミュニティ公園に潤いを与えている。
ちょうど温泉入浴後の散策に堰堤の池の晩秋の暮色と夕風が心地よい。
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馬追の名水 |
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ながぬま温泉 |
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旧舞鶴橋 |
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富士戸堰堤の暮色 |
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