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滝野公園行きのバスを途中「常盤小学校前」で下車し、真駒内川に沿う国道453
号札幌支笏湖線を南へ歩き出す。2キロほど進んで国道と分かれ、湯ノ沢道に入って
すぐ右手にそれらしき石段を上がって常盤神社境内に入る。30年前に亡父がスケッ
チに訪れた時には風にギシギシとなっていた朽ちた鳥居は既に取り替えられて、立派
な軟石製のものに代っていた。丘の上の境内は総じて古色蒼然としていて、静寂の中
葉の落ちた木々に午後の小春日がまぶしい。
石山陸橋は、真駒内柏丘と常盤地区を直結する高架道路橋で、下には真駒内と石山
中央、及び藻南橋から川沿を結ぶ道路があり、さらにその横下には旧定鉄の走ってい
た路盤があるという複雑な立体七叉路になっている。昔この辺りは「望豊台」と呼ば
れて札幌軟石の馬車積みの中継地だったという。当時も交通の要衝で相当混雑してい
たらしい。そこで昭和61年に石山陸橋を架橋し混雑の緩和を図ったという。陸橋の
すぐそばの小さな空き地には、軟石製の「望豊碑」とその由来の石碑が建っている。
岩戸公園は、今時期、葉を落とした冬枯れの黒々とした木立が疎らに生え、一部の
地面には苔も生え笹薮に縁取られた人気のない地味な公園であった。山裾にある公園
は寒々として薄暗く、さして広くもない公園内を歩いてみたが、子供の遊具2基とい
くつかのベンチ、それに朝日岳への登山道入口が目に留ったのみで、稲荷社の影も形
もない。30年前に亡父がスケッチに描いた稲荷神社はもう廃されたものと思われる。
定山渓温泉街の衰退が喧伝されてから久しいが、こんなところにもそれが覗える。
藻岩山の南斜面、「北の沢会館前」でバスを降り「左北の沢川」に沿って坂道を上
る。右手の畑の中の小さな橋を渡ると、その向こうは上がり勾配の小径が続き林の中
に入っていく。小径を辿ると丘の上の葉の落ちた疎らな林の中に個人所有の手造りら
しい鳥居と社があった。確かに白木の社殿の庇には、これも白木板に「八幡神社」と
明確に墨書されている。静寂な神域の辺りはもう夜の帳が降りてきつつある。
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常盤神社 |
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望豊台記念碑 |
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定山渓稲荷のない岩戸公園 |
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北の沢八幡神社 |
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