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初冬の好天に誘われて、JR学園都市線「百合が原公園駅」に降り立ち、公園の北端に位置する
「烈々布会館」に向かう。この建物は地区の集会所のような役割で、2階に郷土資料室があるのだ
が、常駐の係りの人はおらず当日玄関も鍵が懸かっていて中に入れなかった。会館の前に「篠路烈
々布開基百年記念碑」があり、その裏にひっそりと小さな軟石造りの祠に入ったお地蔵様が座って
いる。造りからみてかなり古く、昔から烈々布の発展を見届けてきたのだろう。
地蔵尊の横から公園の中に入って南へ進む。この前降った積雪の残る園内には、ウォーキングす
る人、犬の散歩をさせる人、遊具で遊ぶ子供達などのほか、思った以上の人数があった。そう云え
ば、来る途中の公園駐車場にはかなりの駐車があったことに納得がいく。公園のリリートレインの
鉄路を跨いで園内の展望の利く高みに上ると、奥には札幌の西の連山を背景に広々とした眺望が楽
しめる。突然に頭の上に爆音が聞こえたと思ったら、近くの丘珠飛行場に着陸進入態勢に入った小
型旅客機フレンドシップのそれであった。
百合が原公園の東口から公園を後に「篠路通」へ出て南に進むとすぐに「烈々布橋」で「旧琴似
川」を渡る。現在では、烈々布という地名はもはや風化しつつあって、先般の地区会館、バス停、
神社やここの橋の名前に細々と残っているのみだ。地名とは歴史そのものであり、行政や新住民が
むやみやたらと変更するのは如何かと思う。開基百年の記念碑にもあるように、開拓に入った先人
の努力があってこそ、今の郷土がある。烈々布というのはアイヌ語源の音らしいが、意味の定説は
まだない。
烈々布橋を渡ると旧琴似川はゆるやかに南西へと曲がって遡るが、ここで篠路通に沿う「丘珠川」
と分岐する。分岐点の水の淀みにはえさがあるのか、寒ガモが枯れアシの間の水面で数羽群れをな
してえさを漁っている。そう広くもない川岸近くはもう薄氷が張ってきているのに、彼らは寒さを
ものともしていない。この点は人間も見習うべきか。百合が原公園南縁を流れる旧琴似川に沿う土
手の草むらは、ところどころ残雪があって短靴では歩きにくく、雪のかけらが靴中に時々入る。
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烈々布開基百年碑と石地蔵尊 |
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百合が原公園・雪景色 |
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烈々布橋から旧琴似川下流 |
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丘珠川分岐付近の寒ガモ |
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