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JR千歳線の沿線には陸上自衛隊の駐屯地や演習場が多数散らばっている。ここ島松
にもその一組があるのだが、昔はすずらんの群生地として春にはすずらん狩りで賑わっ
たものだった。
島松駅で電車を降りて牧場地帯を西に3キロほど歩いて行くと、新しい恵庭墓園の裏
側からオーバーブリッジで道央自動車道と国道36号を相次いで跨いで、向こう側の旧
国道に出る。さすがに道央の交通の大動脈で車の行き来が多い。
旧国道の坂道を下って島松川の畔に出ると、国指定史跡として復元・保存されている
旧島松駅逓所の平屋家屋が見えてくる。駅逓所に隣接する敷地には、寒冷地稲作発祥の
碑(中山久蔵顕彰碑)やクラーク記念碑が建てられている。この辺りは水利もよく古く
からの交通の要衝であり、明治6年の札幌新道の完成早々に駅逓も設けられた。
明治10年、クラーク先生はこの地で別れを惜しむ学生達に「Boys, be ambitious !」
の有名な言葉を残して帰国の途に就いた。
旧駅逓所の敷地の裏は支笏火山灰の造った高い崖になっており、台地間に架かった
自動車道橋の下を潜って、島松川の清流に沿う小径を歩いていくと潅木の茂みにきれ
いな青い鳥が一羽枝に留っていた。体長の割りにくちばしは短く、たぶん「おおるり」
と思われた。
190万人の住む大都市・札幌から、ほんのわずかの距離の郊外でこのような野鳥の
姿を見かけることのできる自然が、いつまでも失われないようにしたいものだ。
寒冷地稲作の成功に功績のあった中山久蔵は、明治4年にこの地島松沢に移住して
、明治17年から駅逓の経営に当った。駅逓所の敷地内には、蓮池や暖水路を持つ水
田が復元されており、毎年近くの小学生達が田植え・稲刈りを体験学習し、お盆の頃
には蓮池の見事な蓮の花を見にたくさんの人が訪れるという。
また島松駅逓は、明治14年明治天皇の北海道巡幸に際して御昼行在所に当てられ、
上座敷のある建物の一部はこのときに増設したらしい。駅逓屋外の脇には陛下に供し
た御膳水の井戸も保存されている。
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国道36号(上)と道央自動車道(下) |
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寒冷地稲作記念碑(左)とクラーク記念碑(中) |
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島松沢で見かけた「おおるり」 |
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国指定史跡「旧島松駅逓所」 |
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