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磐渓バスの終点から道道と分かれて市道磐渓線に入る。この道は磐渓川に沿う
稜線を1.5キロほど遡って「日蓮宗磐渓山妙福寺」に至る道である。この寺は
昭和の初めからあるらしく昔は尼寺だった由。1キロほど坂道を遡って妙福寺に
着く。寺のそばの沢に「法龍水」と名付けられた湧き水があって、昔高僧が杖で
地面を突いて水を湧き出させたという言い伝えがある。しかし、立ち寄ってみる
と湧水源はすっぽりと小さな赤いトタン屋根のお堂の中にカギを懸けて大切に納
められていて、一般には神水を味わうことができない。仕方なく、代わりに通常
寺の前で使っている湧水で我慢する。
来た道を引き返して当初目的の磐渓市民の森に入る。磐渓市民の森は「三菱山」
の山腹山林を活用した起伏のあるハイキングコースであるが、全体によく整備さ
れており、特に遊歩道が広く(入口の車止めがなければ車が通れる幅)分岐点毎
にコース全体見取図と番号付きの方向表示板が立てられており、迷うようなこと
はまったくない。今回私は最も距離の長い外縁部を巡るコースを選んで歩いてみ
た。遊歩道の両側には、とどまつ、からまつ、カツラ、白樺、エゾアジサイ、オ
オウバユリなどの樹草木が鬱蒼と茂って、晴天の強い日射を避けて気持ちよい森
林浴を楽しむことができる。
コースの最高標高は400m程度で、西野から円山西町を結ぶ高圧送電線が頭
上を通る高台の辺りはこのコースで唯一空が開けて眺めが良い。ここから手稲山
や百松沢山が雲の合間に見張らせる。丁度昼になったので木のベンチに座ってオ
ニギリを食べながらしばし休憩する。デザートは途中で摘んだヤマグワの黒い実
が懐かしくも格好の甘味であった。また、この高台の裏からさらに標高482m
の三菱山に登れるのだが、先の予定もあって今回は断念する。
帰りのバスの発車時間を見計らって磐渓市民の森を30分ほど下りバス停に着
く。たしか毎1時間おきの発車だと記憶していたが、丁度13時10分発のバス
だけが時刻表にない。「しまった」と思ったが、さらに何もないここで1時間先
まで待つ気はせず、「ままよ」と歩き慣れた幌見峠を経由して円山西町に出るこ
とにした。磐渓バス停からの距離は3キロほどで大した距離ではない。途中の幌
見峠にも先週立ち寄ったばかりなのでパスして峠向こうを降りてゆく。
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妙福寺の「法龍水」 |
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磐渓市民の森コースで |
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コース標高400m地点から砥石山 |
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雲の中の百松沢山 |
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