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藻岩山の北東面・伏見地区にある東本願寺・北海御陵の裏山の尾根には、札幌市街からもよく見える白亜のパゴダを模した
「平和塔」が周囲の緑の山腹に映えてまことに美しい。ここに上る道は2つあって、その一つが御陵敷地の北端を
山側にほぼ直登してから折り返す舗装道で、途中の御陵の高みから納骨堂を横に札幌中心市街がよく見晴らせる。しかし、
今日の様な日射の強い日は木陰も少なく上り道の歩行は汗だくになる。
太平洋戦争での戦没者の慰霊と平和祈願のため、昭和36年にこの地に平和塔を建設する企画が日本山
妙法寺山主から発願された。この趣旨に賛同されたインドのネール首相が仏の舎利骨を寄贈、これを平和塔の塔内に安
置して祀ったものという。私は学生の頃、突然、藻岩山の山麓の高みに建てられた平和塔を見て、建築物の形のために
なんだか違和感を覚えたものだが、由来を知った今では形の問題ではないと理解している。
平和塔は、コンクリート製の巨大な建造物で、二段の台座の上に白亜のパゴダ風仏塔が載っており、
藻岩山の東北尾根の出張りの樹林を伐採して開けた台地の中央に配置されている。周囲に木々がないためか、どうも
日本的な荘厳さはあまり感じられない。正面には、金色のお釈迦様の大像がアルコーブに組み込まれ、像の後光の板
に「南無阿弥陀仏」らしき文言が墨書されている。折から藻岩山ロープウエイのゴンドラ2台がすれ違うところだが、
画面構成上ここからはまるで小さくしか写らない。それにしてもエゾハルゼミの合唱はもう真夏の趣だった。
平和塔に至るもう一つの道は、藻岩山ロープウエイ山麓駅の裏手から角石の多い登山道をジグザグに登る道で、
距離は長くなるが、その分道平均の傾斜は緩くなり、全路が木陰の中なので今日のような炎天下では、こちらから
上った方が楽であったようだ。何度かの蛇行上りの後、最後の10m高ほどは石段を直登して平和塔の正面に出る。
なお、先の御陵側からの道では、丁度、平和塔の裏側に出てくる。
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東本願寺北海御陵 |
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平和塔由緒碑 |
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平和塔と藻岩山ロープウエイ |
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新緑の木陰の中の参道 |
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