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国道5号線沿いの星置川の左岸の丘にある明治30年創祀「星置稲荷神社」
を訪ねる。丘の入口に神社への標識と参道の上り階段が続いているが、訪れる
人も稀なのか参道は種々の雑草で侵食され始めている。参道を上り詰めると神
社の入口に青銅製の鳥居が建つ。境内はこれまた草生したトドマツ林に囲まれ
て幽玄の雰囲気があり、何と一本のトドマツの若木が境内に横倒しになって社
殿までの道を塞いでいる。トドマツの倒木を乗り越える際に手に付いたマツヤ
ニの香りと粘り気は、この木がまだ倒れてから新しいことを物語る。
参道を下って星置川を渡り右岸の丘の「星置神社」にも立ち寄る。こちらは
広島県人がこの地区に最初に入植して以来の明治18年創祀と古い神社で、正
面の石段の造りの大きさにも歴史が覗われる。境内の手入れは行き届いており、
開村百年記念碑や大師堂なども設けられている。鳥居の前からは石狩湾や遠く暑寒別連山がひろばろと見晴らせる。
国道5号線を小樽に向けて銭函市街の手前に「御膳水」という地名がある。明治14年明治天皇の北海道行幸の際
この地で休憩された陛下にこの地の沢水を味わっていただいたという故事によ
る。国道沿いの崖下には小さな祠と石造りの井戸が記念碑とともに置かれてい
る。思い起こせば札幌の山鼻小学校の横にも清涼な水の出る井戸があり、同年
明治天皇の行幸の折の休憩時に飲んでいただいたという御膳水があったらしい
が、こちらは残念ながら記念碑などは皆無である。
国道から北へ銭函市街に向かう道路に入って少し歩いた消防分署の付近にも
神社があると地図に記されているが、探してみるともう社殿はなくある住宅の裏手に関係のあ
りそうな石垣と姿のよい松を見つけたのみであった。さらに道を進んで
JR函館本線「銭函駅」の裏手の高台に「豊足神社」が鎮座している。創祀は
安政9年で豊受大神を勧請大漁・安全を祈願し尊伝稲荷神社と称していたと伝え
られ、明治9年に「豊足神社」と改称し村社に列格した古い由緒ある神社である。
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星置稲荷神社 |
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星置神社 |
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御膳水 |
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豊足神社 |
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