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平和丘陵公園の先の道を西に進むとすぐに路線バス終点「平和の滝入口」の
横に出て道は「手稲右股通り」と合流する。「平和の滝」へは、ここから琴似
発寒川を左岸に渡ってさらに1キロほど西奥に進むことになるが、今回は平和
の滝には行かずに右岸のこの道を真っ直ぐ支流の川沿いに「宮城沢」を歩いて
みた。
琴似発寒川の右岸の道沿いに大きな倉庫のある工場を左手に見て500mほ
ど進むと広い「手稲平和霊園」に着く。あまり知られていないが、ここは民営
ではなく市営の霊園で、札幌市営の霊園では穴場的な位置づけにある。中央の
車道を挟んで山と川の両側に墓石が奥まで並んでいる。この季節、山麓の紅葉
がことのほか美しい。
霊園の最奥に宮城沢の林道入口があるが、例によって熊の出没情報が赤字の
警告版で掲げられている。昨日の降雨で足元は少しぬかるんでいる所もあるが、
行けなくなる所までと思いスニーカーで入っていく。川は途中で琴似発寒川本
流と支流の宮城沢川に分岐するが、林道は宮城沢川に沿って続き橋桁の基礎鉄
骨が残る地点で川を渡る。霊園から1キロほど進んで頭上に西野変電所からの
高圧送電線が通る地点まで来て、今日の足拵えではそろそろ限界と判断して元
来た道を引き帰すことにした。
林道入口に戻り霊園最奥の地点から川岸に降りていく別の小径に入る。この
辺りには昭和30年に完成した砂防ダム「平和堰堤」が造った「平和湖」と呼
ばれた人造湖があって、近くに食堂も営業し炊事遠足や子供の水遊び場となっ
てリゾート地として賑わったという。それから50年経過したが今でも堰堤は
頑丈そうであり、堰堤の端には、折り返し水路付きの魚道もしっかりと確保さ
れ機能していた。
砂防を目的にして造られた堰堤(ダム)によってせき止められた平和湖の名
残の池は今でもあるものの、その後の砂礫の流入と堆積が進み、もはや昔日の
面影はなく、訪れる人も稀な静謐な佇まいの池となっている。しかし、そんな
人間様の行為の変化などと無関係に、池の周囲は時節柄の紅葉が湖岸と湖面に
映えて美しい景観を造っている。底の浅い池の中を覗くと何やらうぐいらしき
魚影が数匹連れ立ってゆうゆうと回遊している。
天候は今ひとつであったものの、今回の散策と新たな発見に満足しつつ、平
和の滝入口のバス停から帰途に就いた。
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手稲平和霊園入口の紅葉 |
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宮城沢川の清流 |
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平和湖を造った平和堰堤 |
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平和湖湖岸の紅葉 |
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