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藤野3条2丁目でバスを降りて国道沿いに少し西へ歩くと「藤野沢簡易郵便
局」があり、その西角を左に入ると「藤が丘高台公園」に裏側から上れる。そ
の道の入口は足場丸太で作った古い鳥居のある「大物住神社」の参道になって
いる。丸太で補強された土段を30m直登すると10m四方ほどの広さの神域
に出られる。神前に第二鳥居があって一本の赤松を背負い注連縄を纏った「天
照皇大御神」の石碑が鎮座している。以前から社殿はないが、今はその隣に地
元の発展に貢献のあった佐藤義男翁の顕彰碑が建っている。
国道に戻ってオカバルシ川の袂まで戻る。川の左岸に沿って設けられた遊歩
道を上流側に進む。石積みの護岸をものともせずにゴム長で河原に入り込んだ
釣人が目の前で小振りのうぐいを釣り上げてみせた。とある人家の物置の裏に
は見事に咲き誇った萩の花群がもう秋の季節を感じさせてくれる。しかし、こ
の後川沿いの遊歩道は長続きせず、仕方なく車も通る川沿いの道路に出ざるを
得ない。この道は、義父と義妹の墓がある「藤野聖山園」に向かう道で、車で
は命日とお彼岸の度に訪れている。
左側の道路に進んですぐ、二股に道を分けている丘への石段を上って「藤野
神社」に立ち寄る。ここの鳥居も二段構えでしかも太さが不均一な自然木の丸
太を使った古色蒼然たる鳥居で、先ほどの「大物住神社」と同様明治43年の
創祀のようだ。鳥居の柱のあちこちにアカゲラの削った丸い穴が散見される。
傾斜地の参道は深い樹林に囲まれて幽玄の雰囲気を醸し出す。エゾマツ、トド
マツ、カラマツ、ヤマザクラ、アカマツ、シラカバ、ハリギリなど樹種も多く、
いずれも大樹となって空を狭めている。
ここには赤いトタン屋根の社殿がひっそりと置かれ、神社の扁額もなく現地
では神社名を知る手懸かりがない。しかし、社殿の左右に「藤野開基百年記念
碑」と土俵の跡、さらに社殿の裏に隠れるように「山之神」碑2基(1つの裏
側に明治39年と刻字、もう1基の土台には「丸重吾安全」と刻字あり)と軟
石製の小祠2基があって、歴史の重みが自ずと滲み出ている。明治の頃、藤の
沢は「丸重吾の沢」と呼ばれていた。周囲の鬱蒼とした樹林とともにいかにも
神域に相応しい佇まいである。
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大物住神社の2つの石碑 |
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オカバルシ川遊歩道際の萩の花 |
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藤野神社の第二鳥居と社殿 |
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藤野神社社殿裏の軟石碑と小祠 |
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