藤野・オカバルシ川を歩く
'07.09.18. 晴れ
 藤野3条2丁目でバスを降りて国道沿いに少し西へ歩くと「藤野沢簡易郵便 局」があり、その西角を左に入ると「藤が丘高台公園」に裏側から上れる。そ の道の入口は足場丸太で作った古い鳥居のある「大物住神社」の参道になって いる。丸太で補強された土段を30m直登すると10m四方ほどの広さの神域 に出られる。神前に第二鳥居があって一本の赤松を背負い注連縄を纏った「天 照皇大御神」の石碑が鎮座している。以前から社殿はないが、今はその隣に地 元の発展に貢献のあった佐藤義男翁の顕彰碑が建っている。

 国道に戻ってオカバルシ川の袂まで戻る。川の左岸に沿って設けられた遊歩 道を上流側に進む。石積みの護岸をものともせずにゴム長で河原に入り込んだ 釣人が目の前で小振りのうぐいを釣り上げてみせた。とある人家の物置の裏に は見事に咲き誇った萩の花群がもう秋の季節を感じさせてくれる。しかし、こ の後川沿いの遊歩道は長続きせず、仕方なく車も通る川沿いの道路に出ざるを 得ない。この道は、義父と義妹の墓がある「藤野聖山園」に向かう道で、車で は命日とお彼岸の度に訪れている。

 左側の道路に進んですぐ、二股に道を分けている丘への石段を上って「藤野 神社」に立ち寄る。ここの鳥居も二段構えでしかも太さが不均一な自然木の丸 太を使った古色蒼然たる鳥居で、先ほどの「大物住神社」と同様明治43年の 創祀のようだ。鳥居の柱のあちこちにアカゲラの削った丸い穴が散見される。 傾斜地の参道は深い樹林に囲まれて幽玄の雰囲気を醸し出す。エゾマツ、トド マツ、カラマツ、ヤマザクラ、アカマツ、シラカバ、ハリギリなど樹種も多く、 いずれも大樹となって空を狭めている。

 ここには赤いトタン屋根の社殿がひっそりと置かれ、神社の扁額もなく現地 では神社名を知る手懸かりがない。しかし、社殿の左右に「藤野開基百年記念 碑」と土俵の跡、さらに社殿の裏に隠れるように「山之神」碑2基(1つの裏 側に明治39年と刻字、もう1基の土台には「丸重吾安全」と刻字あり)と軟 石製の小祠2基があって、歴史の重みが自ずと滲み出ている。明治の頃、藤の 沢は「丸重吾の沢」と呼ばれていた。周囲の鬱蒼とした樹林とともにいかにも 神域に相応しい佇まいである。
大物住神社の2つの石碑
オカバルシ川遊歩道際の萩の花
藤野神社の第二鳥居と社殿
藤野神社社殿裏の軟石碑と小祠
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